真実の中国史 宮脇淳子著 岡田英弘監修 李白社刊

ちょっと写真が大きいですが。

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宮脇淳子先生は「モンゴル帝国以後の遊牧王権 モンゴル・オイラトの対立抗争とチベット仏教の受容」で博士号を得た先生で、今年(2017年)に亡くなられたご主人の岡田英弘先生はモンゴル、満州史がご専門だったそうです。

 

現在の中国のチャイナセブンの一人、王岐山いわく「去年、岡田英弘の歴史書を読みました。そのあとで、私はこの人物の傾向と立ち位置を理解しました。彼は日本の伝統的な史学に対し懐疑を示し、日本史学界から“蔑視派”と呼ばれています。彼は第三世代(白鳥庫吉和田清につぐ?)の“掌門人(学派のトップ)”です。」

つまり、日本の学界とは合わなかったようです。
とは言え、日本の歴史学界は戦後ゆがめられていると聞きますので(例えばチャンネルくららを見ますと、GHQマッカーサー以外、ケージス以下は共産党コミンテルンの手が入っていると聞きますし)、日本の歴史学界に沿わない研究結果を発表していたということは、真実の歴史を研究していた方なのかなあと思います。

 

この本は本の表紙通り1840年~1949年までの中国史です。

要するに、「中国4000年」だあ「中国5000年の歴史」だあは嘘ですよとそういうことなのですが、その詳細が書かれています。

ただし、表紙通り1840年~1949年までなので 事前に、もっと前の段階の中国大陸史を理解していると、よりおもしろいと思います。

 

中国というのは、清は満州人(遊牧民女真族)の王朝です。

元はモンゴル人の王朝です。

三国志曹操がいた場所。あそこも北の遊牧民と接していて、武力が強かったのは騎馬民族に協力してもらっていたからだとか、あと北魏はあそこら辺の騎馬民族だとか。

韓国の李氏朝鮮の祖である李成桂も明で軍人をしていた満州人で、高麗の王族を一族すべて殺害して李氏朝鮮を興しました。

現在中華人民共和国と言われている地域は、1億年遡っても5億年くらい遡ってもそこに土地はあるでしょうが、あくまで舞台であり、そこでは陸続きなので色々な民族の流れがありますよというのが、この本の内容よりもっと前からの歴史です。

 

宮脇淳子先生のモンゴル史やジュンガル国史などを読むとわかりやすいです。
ロシア大公がツァーリ(皇帝)という呼称を使い始めたのも、ウィキペディアを見ると帝政ロシアは1721年からです。
モンゴル系の遊牧民がヨーロッパまで攻めに行ったのはもっと前です。
それまでロシアには国があったのか?という所とかも知ると面白いです。
実際は、遊牧民が辺境のなにもないロシアまで攻めに行って、そこで流通など経済活動を始めたので、現地の従属した領主が豊かになり、クレムリン(城塞都市)を作るまでに発展したというのが事実だそうです。
クレムリンモンゴル語だかトルコ語だか、元々はルーシ(ロシア)から東の方のどこだったか、まあロシア地域の人たちがモンゴル系のハン国に従属したので、そちらの方からロシア地域に城塞で市場がある都市形態が伝番したそうです。
「ゲルマン大移動」の原因となった騎馬民族の侵攻、とその東側ルーシも含めた地域にキプチャクハン国とかカザンハン国がいるのにロシアが飲み込まれないわけはないです。
ルーシのあの地域の民族はハン国に従属して、その中でもモスクワ大公が出世をして、後ろ盾に騎馬民族のハン国がついていたので強かったようです。
なので、ロシアは1721年に帝国になったり、ツァーリ(皇帝)を名乗るのも他の西欧諸国と比べるとかなり遅いです。
なぜなら、元々はっきりとした国がなかったからだと言います。
遊牧民が攻めて来たときも、王と言う概念もなかった色々な民族がそれぞれの地域に住んでいたような未開な地域だったようです。

初代ツァーリの時代でもまだ遊牧民騎馬民族であるなんとかハーンに税金を払っていた様です。

とまあ話はそれましたが、海で囲まれている対外戦争のない単一民族を維持できる日本とは違い、大陸の歴史はかなり広い地域を見ないとわからないようで、モンゴル史が専門の岡田英弘先生や宮脇淳子先生の話を見聞きすると、だいたい流れがわかってきます。


しかし。
しかしこの本では、毛沢東文化大革命でそれまでの歴史や知識層を破壊、殺害し、抹消して、「中国は5000年の歴史が連続して続いている」という嘘を違いますよと述べ、真実に沿って書かれています。

もうちょっと前の歴史から、同著者の本を読むと、事前知識があってよりおもしろいかもしれないです。

例えば、宮脇淳子著「最後の遊牧帝国 ジュンガール部の興亡」

 

 

岡田英弘著 「清朝とは何か」藤原出版 

 

 

岡田英弘著 「モンゴル帝国から大清帝国へ」

 

 

岡田英弘著 「康煕帝の手紙」

 

などがおすすめです。

とは言っても、上記著作を読まなくても「真実の中国史」は難しい言葉の言い回しもなく、素直にすとんと読みやすいです。
それでいて、近代の真実の中国史が読めます。